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良市に要望しました。奈良県警察本部では、駅前広場へのマイカーの乗り入れは主婦が夫や子供を駅まで送る目的で運転しているため、バスの定時性が確保できればバス利用に転換させることが可能であること、駅へのアクセス道についても幅員7m、歩道幅員1.5mということで交通量の増加に対応した道路改良がなされていないことなどから、県警の判断でラッシュ時におけるマイカーの通行規制に向け取組を開始しました。6月に学園前駅において朝7時から8時30分の間にアンケート調査を実施し、4,277件の回答を得ました。その結果、交通規制に賛成が58%、反対が38%となりました。これらを踏まえ自治会に対する説明会を順次開催し、席上交通規制が実施されると迂回道路がないために住宅地内や通学路に車が流入しるという反対が一部から出たが警察本部では、他に迂回道路がないから本当の総量規制が可能であり、またその車は住民自ら発生させているものと説得し、交通規制試行の合意を得ました。試験実施は、昭和59年4月9日から4月14日の6日間の午前7時から8時30分までの1時間30分間に実施しました。結果は、駅前広場へのマイカー乗り入れ台数が84%減少し、バスの遅延もゼロという成果がみられ、乗客も22%増加し、欠くの乗客からも好評を得ました。一方、周辺住民からは、街が静かになった等の意見もあり、街路への通過交通の流入も殆どみられませんでした。試験実施の結果に基づき、県警・奈良市・地元自治会・当社との4者会で本格規制について積極的な取り組みを始めることになり、昭和59年12月に規制時間を1時間に短縮し実施することで合意が整い、昭和60年3月25日月曜日から実施し、今日に至っています。本格規制実施にあたっては県警で信号の改良・新設・右折化左折専用レーンの設置等の交通対策を、奈良市では道路の一部拡幅やバスベイの設置に加え、歩道橋の設置等の整備をしていただきました。
当社はマイカーの長所である「歩かせない・待たさない・立たさない・登らせない・濡らさない」という5つの「ない」ということで「ゴムの留意点」といっていますが、ゴムの様な柔軟な発想でバスのサービスをマイカーに近づけることを目標とし、積極的に取り組みました。
「歩かせない」という点では、大型路線の3路線を新設したほか、それまで道路が狭いため大型バスでは運行できなかった地域に車長7m、車幅2.3mのマイクロバスを当初は1路線、現在では23路線に新たに導入し運行しました。道路は狭隘であるが人口が多いため、車両は座席定員17人、立席定員24人、合計41人乗りとし、ドアトゥドアに努めました。可能な限り自宅の近くで降車して頂けるよう21時以降に学園前駅を発車する便には、自由乗降制度も都心部には珍しいが導入しました。さらにバスと電車の乗換えをスムーズにするため、北乗り場は電車のホームとバスの乗り場をフラットにし、ホームトゥホームとしたり、自転車置場をバス停に隣接する社有地に設け、サイクルアンドバスライトシステムを実施し、歩く距離を短縮しました。
「待たせない」では、運行回数をそれまでの719回/日から試験実施日には953.5回/日に増やし、さらに現在では1,197回/日に増加させ、実施前に比べ66.5%増としました。また、学園前地区で23時40分頃まで運行していた最終便を延長し、平成2年10月から午前0時以降に発車する便を深夜バスとして4路線7系統に設定し、深夜運賃で運行しました。一方、学園前駅での乗降時間を短縮するため、3か所の乗降口を持つ車両を導入するとともに往と復で乗降方法の異なる変則方式の導入も行いました。住宅地から駅に向かう場合、最高7区の多区間の運賃設定ではあるが運賃先払いとし、途中停留所で降車する者はその旨を運転者に申告し該当する運賃を支払

 

 

 

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